FINAシンクロナイズドスイミングDegree of Difficulty(難易率)ミーティングが1月18日ー21日にアメリカ,バージニア州ウィリアムズバーグ市で開催されました。日本からFINA TSSCメンバーの本間三和子委員長とパフォーマンスアナリストとして伊藤浩志シンクロ委員が参加しました。

このミーティングは,前回2009年4月にナショナルトレーニングセンターで開催され,6年振りの開催となりました。ミーティングの目的は,ひと言でまとめるとフィギュアとエレメンツの難易率の全面見直しです。

皆さんはフィギュアとエレメンツの難易率がどのように算出されているかご存知でしょうか?

フィギュアとエレメンツは,トランジション(ある基本姿勢から次の基本姿勢まで) の組み合わせで構成されています。例えば,アイビスコンティニュアススピンは,つぎの5つのトランジションから成っています。
①上向き水平姿勢→ベントニー上向き水平姿勢
②ベントニー上向き水平姿勢→バレーレッグ姿勢
③バレーレッグ姿勢→フィッシュティル姿勢
④フィッシュティル姿勢→垂直姿勢
⑤コンティニアススピン
これらの①〜⑤までの各トランジションに価値点(NVT)が設定されています。アイビスコンティニュアススピンの難易率は,①〜⑤までのトランジションの価値点を合計し,一定の係数を掛けて難易率を算出します。

現行の難易率算定方法は1998年に制定され,現在も使用しています。近年,ダイナミックハイト系のトランジションや素早いトランジションが加わり,エレメンツにも難易率を設定するようになりました。当初の算定方法では対応しきれないフィギュアやエレメンツが多数出現しています。そこで,今回,大幅に見直すことになったわけです。

ミーティングでは,トランジションの価値点(NVT)のコンセプトと算定法の議論に多くの時間が割かれました。また,フィギュアの減点システムについてもリコメンデーションをまとめることになりました。本ミーティングで整理された難易率決定方法は,2015年7月までにレポートをまとめ,カザン世界水泳時にFINA TSSCに提示されます。承認されれば,2017年のルール変更時から活用されます。

FINA SY Degree of Difficulty(難易率)特別委員会メンバー:
Miwako Homma FINA – TSSC  Chairman of Judges’ Sub-Committee (JPN)
Sonia Hercowitz FINA – TSSC  Chairman of Coaches’ Sub-committee (BRA)
Jennifer Gray Member of original ad hoc committee (GBR)
Judy McGowan   Member of original ad hoc committee (USA)
Barbara McNamee Member of original ad hoc committee (USA)
Koji Ito Performance analyst (JPN)
Mickael Begon Performance Analyst (CAN)

連日,朝7時30分〜夜11時まで,部屋に閉じこもって議論と作業が行われました。
DDミーティング集合写真

DDミーティング1

パフォーマンスアナリストとしてFINAから招聘された伊藤浩志氏(JISS勤務)と,難易率設定に長く深く貢献してきた現USシンクロ会長のジュディさん。
DDミーティング3